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地竜謁見 (3)

ドワーフの女の死骸は、まるで子供の体のように見えて気味が悪かった。シーケンはわざとそれを見えなかったかのように無視して、辺りに倒れていた他の死骸に近付いた。しかし彼と同行したホークアイにドワーフはすぐ発見された。
シーケンは自分の前にうつ伏せに倒れている死骸をつま先で覆した。三十をちょっと過ぎるぐらいのヒューマンの男だった。左腕には、オーレン警備隊のマークが描かれたスカーフを巻いている。あちこち負傷を負っているが、彼を死に至らしめたのは胸にささったマルックソルジャーの刀だった。そのマルックソルジャーも、男の仲間に復讐にあったのか頭が無い状態で倒れていた。男のオークたちが好みそうな奇妙な模様の護符と、戦いに用いられるだろう何種類かの道具、そして判読できない文字が刻まれた正方形の石を遺品で残した。シーケンは最後に捜し出した石を拾って上着の胸ポケットに入れた。できればそれを使う事がないように願いながら...

彼は戦闘でくたびれた身を壁に寄り掛け、魔術師のことを考えた。黙示録を手に入れる前から、いや、初めてスペルハウラーと会い任務に就いた時から、彼らは長老たちの言葉に細心の注意を持たなければならなかった。長老たちの勧告と言うのはすなわち警告だ。従わない者に血と死を与えるだろうという脅威だ。もちろんシーケン自身は、主に脅威を受けるよりは与える方だったが、さまざまな理由によって大長老シフィエルの意見だけは尊重したかった。

(決してその本を読んではならぬ)

彼は、いつ誰によって書かれたのかも分からない古くさい書物の端くれの内容には関心がなかった。一年弱自分と一緒に旅した魔術師にも関心がなかった。そして、シフィエルに特別な待遇を受けているという、その模範生のような魔術師も問題の本に関心がないと断定していた。間違いなく、そう断定していた......

呪われた森に到着する数日前、刃に似た月を霧が不鮮明に浸食した夜、スペルハウラーはカイシャの黙示録と共に影をひそめた...

「石はあったか?」

振り返ると、ドワーフの死骸をすべて調査したのか、ゴースティンが何かを手の上で遊ばせながらこちらに来ていた。シーケンが先程捜し出したものと同じ四角い模様の石ころだった。ドワーフの死骸が仰向けで横たわっているのを見て、彼は少し驚いた。

「いつも思うのだが、ドワーフの女の死骸は見るのは胸糞悪い」

意外な不平にシーケンが何か答えようとした瞬間、洞窟内のそう遠くない所で、気合いと悲鳴、鉄と鉄がぶつかる音、岩が割れて風の搖れる音が聞こえ始めた。

「俺達は迷う心配がなくて良いね」

シーケンを追い抜いてゴースティンが先に立ち、洞窟の奥へ颯爽と駆けていった。新しい侵入者の登場を気づいた化け物たちが、近くの洞窟から溢れ出た。

「さっそくか!」

ゴースティンが弓を引くと青い光彩を含んだ矢が走り、前を塞いで立っていた女の額を貫いた。続け様に次の矢が飛んで首にめりこむ。女の真っ赤な目が信じられないというように射手を睨んだ。飛びかかったホークアイは、彼女を蹴飛ばして倒した。女の背中のコウモリを似ている羽が、力無く地底を叩いた。巨大な刃物ように見える女の手が自分を踏んでいる敵の足を狙ったが、彼はもう三番目の矢を準備していた。

最後の矢を射ると、それでブラッディクイーンの動きは止んだ。ゴースティンは止まらずにさらに奥へ向かった。

シーケンの背後から、巨大な黒い鎧を着たマルックバーサーカーが襲い掛かった。バーサーカーの巨大な武器が、頭上に振りかぶる形で上がっていた。シーケンは呆然とバーサーカーの刃を眺めていた。

「遅い...」

頭で考えるより早く、彼の腕が反応した。右腰から左肩まで、短剣が相手の鎧を突き通して鋭い軌跡を描く。しかし、バーサーカーの名前の通り、アンデッドは胸が裂かれることも苦にしなかった。刃が振り下ろされる瞬間、シーケンは舌打ちをしながら身を転がした。彼が立っていた所に小さな窪みができた。彼は短剣を捨てて代わりに腰に携えていたファントムソードに持ち替え、相手の胸を目標にもう一度勢いよく切った。初めて巨大な体が力を失って崩れる。シーケンは雑言を吐き出してゴースティンを追い掛けて走った。


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地竜謁見 (4) ▼
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