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地竜謁見 (4)

まるで竜の骨になめした竜の皮を丸ごと被せた様に、その橋の質感は奇妙だった。ある古代生物の一部分の侵食された骨が、アーチのように橋を覆い被せて遠征隊を歓迎していた。同じくベールのように垂れ下げて死んだ生物の巨大な赤い羽。その上には小さな穴から入ってきた日の光が当っていた。羽の上で古いほこりが舞い降りて、微かな血の色で洞窟を染めた。そして橋を塞ぐように彼らが立っていた。

その生物は全身が熔岩のように赤く、無惨で巨大な両腕には地獄で鍛えられたような鋼鉄の篭手をはめていた。山羊のような大きな角の下に、万事を冷酷に見据える小さな目をやっと見付けることができた。

「期待できるな」
「自分の死がか?」
「あれを見ろよ、ちょうど俺らはもうアンタラスのお守役をすることにくたびれたところだったよな。 その豚みたいなトカゲ野郎はこの向こうにいる、言うまでもないか?」

そのグラディエイターはにこりと笑ったあと、盾を橋の下へ投げ捨てた。彼はギラン城の村の闘技場のチャンピオンだと言ったが、実はカーディアがギラン城の村に留まっている間一回も闘技場で彼の姿を見た事がなかった。しかし生きて帰ることさえできたら、彼はまさしくチャンピオンになるだろう。

(シャークドーンと良いライバルになる)

持っていたもう一つの剣を左手に構えたグラディエイターの姿を見て、カーディアは今は行方がわからない従兄弟を思い浮かべた。

「もうすぐだ...」

同じくリミットソードを持ったソードシンガーがつぶやいた。彼女はエルフとは思えないほど口調が荒かった。見かけも先ほどの戦闘で血を被って、優雅で可憐な森の妖精にはとても見えなかった。エルフというよりかえってドレバヌルみたいだと思ったが、カーディアはそんな言葉を口にするつもりはなかった。オークたちが勇猛さにプライドがあるように、エルフたちは美しさにプライドを持っていることを知っているからだ。

カーディアは残っている人々の数をおおよそ推し量ってみた。ギランを去る時400人を超えた遠征隊の数が、ドラゴンバレーを通る時半分に減り、今はその半数も残っていなかった。
いくら寝起きで不十分な状態だといっても、この人数で竜の巣から出た地竜に対するということは無謀だろうか...?

「心配はいらんよ。たぶんな...」

グリフォン騎士団のゴッドフリー卿は、彼女の葛藤を気づいたように肩を叩きながら言った。ギラン城の村を出る時10人だったグリフォン騎士たちも、今は彼と他の三人だけだった。彼は、領主の前で生きて帰って来るつもりはないと誓ったと言う。死が名誉なことであるとしたら、それは勝利を熱望して純粋に戦い、死んだ戦士たちだけの名誉だろう。不名誉を脱ぎ去る為にに自ら死を選ぼうとしていた彼女の従兄弟が一族から追放された時、自決を禁止した炎の君主の真義もその所にあると彼女は思っている。例の誓いに関する話が事実なら、カーディアはこの騎士を戦友と信じることができそうもなかった。

「そう、とにかくあの赤い筋肉の塊どもさえ処理すれば結界の心臓だか膀胱だかに着くのではないか!」

銀の車輪で走るヤカンを操るドワーフの職人が、疲れを知らない声で言った。

「カリック」

思いがけない声が介入した。遠征隊員たちは、まるで初めて聞くという表情でその声が聞こえて来た所を眺めた。マルックバーサーカーの巨大で重い死体の上に座って休んでいたプリキオスは、ゆっくり指をあげて橋の方を示した。

「カリックです」
「あいつらの名前か?」

ドワーフは気に入らないという表情で尋ねた。

「魔界の軍団長として、各々数百数千の悪魔軍を率いる上級悪魔です」

その言葉を聞いた遠征隊員たちの顔が一斉に歪んだ。

「おそらくあの二体が全てではないはずです。角を曲がればもっといるでしょう」

遠征隊員たちの顔はさっきよりもっと歪んだ。皆が沈黙する時間が経って、始めに動き出したのはゴッドフリー卿だった。しかしカーディアは彼を引き止めた。それより先立って、キルツという名前のアビスウォーカーが彼女に目配せしたからだ。アビスウォーカーは、まるで水中を歩くようにどんな雑音も立てずに動いた。それだけでなく人々は距離が離れるに従ってアビスウォーカーの身が少しずつ闇の色で染まっていくを確認した。橋をすべて渡った頃、カーディアは彼の姿を見失ってしまった。彼らは待った。

▲ 地竜謁見 (3)
地竜謁見 (5) ▼
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