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地竜謁見 (8)

結界の心臓が送ってくれた場所は、途方もなく広い空洞が広がっていた。どこを見ても遥かにそそり立つ壁だけが見えるだけで、その他に建造物などを見つけることはできなかった。壁は上に上がって少しずつ細くなり、そのまま天井になっている。一方の端に口を開けている巨大な穴がなかったら、方向さえ確認することができなかったはずだ。その目印以外にこの大きな密室内で遠征隊員たちが見つけることができるのはお互いだけだった。
彼らは声をひそめて雑談をした。

「橋を通って来たのか?」

カーディアは横に立っていたダークエルフに聞いた。しかし彼の目は十歩ほど下った所で象牙塔の魔術師たちと話を交わしているスペルハウラーに釘付けになっていた。
彼女はシーケンという名前のダークエルフがあのスペルハウラーに飛びかかることができないように警戒していた。相手のことを理解したかった彼女は今まで幾つかの質問を投げかけたが、皆きれいに無視された。

今度はどんな質問をしようか悩んでいる時、ダークエルフは首を振った。
視線はどこまでもスペルハウラーに固定させたままで。

「誰だか派手にやらかした後だった。文字通り化け物たち死骸を踏んで行かなければならなかった」
「黒い鎧を着た騎士たちもいたか?」

ダークエルフは頭を横に振った。

「橋が切れていた」
「...!」
「しかし自然と直っていったよ」

カーディアはギョッと驚いたあげく、ともすればダークエルフの肩を掴むところだった。

「この洞窟全体がまるで生物の骨と肉...組職のようだという考えなのか?」

シーケンの言葉が当たっていたら帰る道は心配する必要がない。

「本当に...有り難いね」

彼女は、危機の度に彼女を救ってくれた幸運を信じることができなかった。
黒い騎士たちの勇猛さは、遠征隊を一番の危機から救ってくれた。そして遠征隊員たちが皆失意にうな垂れている時現われたのが、まさしくこのダークエルフだった。そのおかげで、カーディアは遠征隊員たちの胸の中に消え失せていた火をまたくべることができた。
シーケン自身は自らがどんな仕事をしたのか夢にも考え着かないだろう。

「過去エルモアのバラカヤという村を苦しめたダークエルフ海賊に関して聞いた事がある...」
「忘れろ」
「シーケン・グルームドレイク...竜と竜が争うことになったな」

しかも彼は驚くべきことにアンタラスの巣の中にまで付いて来てくれた。兵力の大半を失った遠征隊において、シーケンともう一人の加勢は本当に有り難い事だった。この世の中にただ二人でドラゴンバレーを通って地竜の洞窟奥深くに足を踏み入れることができる冒険者が何人いるだろう?

此処の洞窟のあちこちを調べて来たローグたちは、どうしても出口が見つけられないようだと言った。ただ一つ不審なこと、壁にある巨大な穴はその終りがどこにつながっているのか分からなく今調査中だと言う。

力の強い者たちが綱を取って穴の前に立っている姿が見えた。彼らは中に入って行った仲間のためにゆっくり綱を解いていた。

突然綱を取っていた二人が倒れた。彼らは穴入口まで綱を取ったまま引かれて行き、途中洞窟端で綱を逃した。綱は素早く穴中に勢いよく入って行って消えた。
かなり遠くにいたため、カーディアは何事が起ったのかよく実感が出なかった。


ガン!洞窟全体が大きく鳴った。


「地震...?」


しばらく静かになり、轟音と共にまた地面が搖れ始めた。頭上でも大きな地鳴りによって石が落ち始めた。落ちた石は底を殴り、地面に土埃を立て始め視野を遮られた。

「中心部では危険だ!端へ!」

隊員たちは盾を持って頭上を阻みながら壁に向かって走った。地震は何分も続き、アンタラスが現れるよりも前に地震のため皆殺しになってしまうぞと泣き叫ぶ声が聞こえた。
しかし地震はしばらくした後止まり、時間が経つと土埃も沈んだ。


「被害状況を...」

カーディアは彼女のそばで落石を避けていた警備隊員に言ってから、相手が自分の言葉を聞いていないことを気づいた。

彼女は何かを予感してゆっくり頭を向けた。

穴が空いていた所、そこには穴がなかった。その場所には岩壁もなかった。
その場所には天井も、底も、本来その場所にあったものは何も見えなかった。
彼女は首を精一杯に上げるまで、自分が見ているものが何か分からなかった。

遥か遠く高い所で彼女を見下ろしてカッカと燃える二つの目と、鋭いと言うよりただ大きいだけの歯の間で炎気を吹いている口。今まで考えていた作戦や戦術はあっという間にすべて飛んでしまう瞬間だった。


「......ああ、パアグリオよ!」


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