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地竜謁見 (10)

彼は、治療を終えてもう小さな傷跡だけが残っている自分の眼の淵を、指先で綺麗に手入れをしてから、身を翻して立ち上がった。地竜の尾が、方向を変えてまた飛んで来た。残った隊員たちが皆底に伏せていたため、今度目標になったのはシーケン一人だった。
シーケンは伏せる代わりに素早く走り、黒い鳥のようにジャンプして尾を飛び越えた。彼は身を転がし、アンタラスのすぐ下まで近付いた。尾が地底を殴ると、洞窟全体に鳴り響く大きな音と一緒に破片と土埃が舞い上がった。

「酷いな。同じ母神を持った仲なのによ...」

砂埃の中でシリエンナイトが楽しんでいるかのごとく笑っていた。

「苦しいだろう!」

彼の剣が、頭の上で高く抱え上げられて振り下ろされた。剣は柄の部分まで地竜の足首の中にめり込んでいった。アンタラスが足を振り回すと、シーケンは、剣を持ったまま空中に投げ出された。刃が抜かれて、竜の血が吹き出た。シーケンは、この攻撃でアンタラスの関心を初めて魔術師たちから引き離すことに成功した。

アンタラスは巨大な体躯を回して、背後に集まっていた戦士たちに向けた。アンタラスの口から血のように熔岩が流れ出た。アンタラスは頭を一度突き上げ、炎が渦巻く口を戦士たちの中心に立っていたソードシンガーに向けた。

戦友たちのために戦闘の歌を歌っていたソードシンガーには、攻撃を避ける余裕がなかった。その時、闘技場のチャンピオンが、地竜の口の下へ跳びこんで、彼女を遮って押しのけた。その場所は、たちどころに火の海に変わり、避けることができなかった人々は、チャンピオンと同様に熔岩に埋もれて消えて行った。


フュィイッ!


シーケンが、アンタラスに向けて口笛を吹いた。

そのへんの雑輩たちを挑発するようなこの行動に、カーディアは疑惑が満ちたが、驚くべきことにアンタラスは頭をまたシーケンに返した。もしかしたら、はじめからアンタラスは彼を狙ったのかも知れない。

アンタラスが、まるで彼をしっかり握りしめようとしているかのように前足を振り回したが、シーケンは身を翻して避けた。アンタラスは二回攻撃をしたが、その度に攻撃は外れた。
最後にアンタラスが前足を振り下ろした時、それを避けたシーケンは足指と足指の間に剣を振り下ろした。再び彼はアンタラスの血を流させることに成功した。


「残ったのは後ろ足一つ!」

シーケンは間髪おかずにアンタラスの二つの前肢の間に飛びかかって行った。
彼がアンタラスの腹下をすり抜けて、後足に一撃入れようとしていた瞬間だった。

アンタラスが立ち上がった。

「なんと...!」

山が立ち上がるとすれば、こんな光景だろう。

アンタラスは怒った熊のように、後ろ足だけで堪えて立ち上がった。猟師の村のレンジャーたちは、アンタラスの腹部が現われたその瞬間を逃すまいと矢を雨のごとく降り注いだ。大部分は厚い皮を貫くことができずに遮断され抜け落ちたが、何足の矢は竜の鱗と鱗の間のとても細い隙間に深くめりこんだ。


シーケンは、目の前にそそり立っている竜を呆然と見上げていた。

「危険だ!」

カーディアはシーケンに向かって叫んだ。シーケンも危機を感じて走り始めたが、ダークエルフの速い足でさえ崩れ落ちる山を避けるには力不足に見えた。

瞬間、シーケンの背中の後ろで閃光が走り、彼の身体は見えない巨人に蹴飛ばされたように壁まで吹き飛ばされた。鼓膜が叫びそうな轟音と同時に、地軸を搖るがすような衝撃で、カーディアは重心を失って倒れた。

アンタラスの姿を隠した土煙が沈むやいなや、カーディアは真っ先にシーケンの姿を捜した。彼の姿は直ぐに捜すことができた。ちょうど彼女の傍で背中を撫でながらよろよろと立ち上がったからだ。

「お前は...!」


▲ 地竜謁見 (9)
地竜謁見 (11) ▼
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